【高校生物】多細胞生物とは?覚え方のコツ!ウニ/カエル/ヒト。単細胞生物との違いや見分け方


高校生物の多細胞生物をわかりやすく解説

 

我々動物は多くの場合、オスとメスが配偶して次世代を生む「有性生殖」を行っています。 

有性生殖は、精原細胞(2n)が減数分裂した精子(n)と、卵原細胞(2n)が減数分裂した卵(n)が交配によって融合し受精卵となる生殖方法です。 

複雑で多種多様な構造を持つ多細胞生物は元々一つの受精卵から生じています。 

今回は受精卵となった細胞がその後どのように初期発生していくのかを、ウニ・カエル・ヒトを例にして解説します。 

 

キーワード 

等黄卵、端黄卵、桑実胚、胞胚、原腸胚、神経胚、尾芽胚、ES細胞、IPS細胞 

 

<ウニの発生>

 

~初期発生の過程~

  

ウニは無脊椎動物の初期発生を観察する時によく用いられる多細胞生物です。 

ウニの受精卵は「等黄卵」と呼ばれ、細胞分裂する時には同じ大きさの細胞が指数関数的に(1、2、4、8、16…)増殖していきます。

またウニの受精卵は海水から身を守るために透明層に包まれています。 

細胞数が増えてくると、受精卵の中心には卵割腔(らんかつこう)と呼ばれる空洞ができます。

この卵割腔ができてくる時期を「桑実胚」と呼びます(桑の実に見えることから)。

また、細胞分裂が進むにつれて卵割腔は大きくなり、受精卵は「胞胚」と呼ばれる段階になります(この時卵割腔は胞胚腔と呼ばれるようになりますが、二語はほぼ同義です)。 

胞胚期には受精卵の周りに繊毛が生じ、透明層が破けます(ふ化)。

さらには将来肛門となる原口ができ、原腸という空洞ができます(陥入)。

また、この原腸ができ始める時期を「原腸胚」といいます。 

原腸胚の後はプリズム幼生、プルテウス幼生へと成長していきます。

プリズム幼生期では将来骨格となる骨片が空洞内にでき、原口から伸びた原腸が受精卵の反対側にぶつかり、口ができます。 

次のプルテウス幼生期では口、食道、胃、腸などの組織が形成され少しずつウニの成体に近づいていきます。 

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 ~傾向と対策~ 

 

入試で問われるポイントとして、ウニの初期発生では以下の3つの点に気を付けましょう。 

 

①等黄卵であること。 

等黄卵は卵黄が少なく、卵全体に均等に拡散している。 

 Ex)ウニ、ほ乳類 

 

②ふ化や原腸陥入のタイミングを覚えておく。 

ふ化=胞胚期、原腸陥入=原腸期である。

ふ化は繊毛の発達により運動能力を高めるため、原腸陥入は消化管をまず発達させ生存能力を高めるためと、それぞれのイベントはなぜ起こるのかまで覚えておきましょう。 

 

③ウニの未受精卵の分割実験 

大学入試の特に記述式の問題では、実験による結果をある程度知っておかなければ解答できない問題もあります。

実験問題に出会った際に戸惑うことのないよう、よく出題される実験は覚えておくといい得点源となります。 

 

実験 ウニの未受精卵を1:水平、2:垂直方向に分割したのち、それぞれを受精させ初期発生させた。 
結果 1:水平 → 上部(動物極側):胞胚までしか発達しない。 

       下部(植物極側):不完全な幼生が発生した。 

2:垂直 → 左右どちらからも正常なプルテウス幼生が発生した。 

結論 ウニの正常発生には動物極・植物極の両方の細胞が不可欠である。 

 

~ウニの初期発生を学ぶ上で気を付ける点~ 

 

ウニの初期発生は高校生物の発生の単元のうちで、最も単純な発生様式です。 

カエルの発生に比べると出題頻度は低いですが、まずは単純な発生順序を覚え、その後より複雑なカエル・ヒトの初期発生を学んでいきましょう。 

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<カエルの発生>

 

~初期発生の過程~

 

カエルは脊椎動物の初期発生を観察する時によく用いられる多細胞生物です。

ウニの初期発生と同様に受精卵、桑実胚、胞胚、原腸胚と発生していきますが、その後の過程は大きく異なります。 

カエルは原腸の陥入後、「神経胚」になります。

神経胚では背側に神経板が現れ、将来脳や脊髄などの中枢神経に分化していきます。

また神経胚期には胚が前後に伸長します。 

神経胚を経たカエルの受精卵は次の「尾芽胚」へ移行し、目、口、心臓、消化管、尻尾など複雑な組織を形作っていきます。

尾芽胚は受精膜を溶かしてふ化し、やがて幼生(オタマジャクシ)に変態します。 

ちなみにオタマジャクシはえら呼吸ですが、カエルは肺呼吸で酸素を取り入れています。 

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~傾向と対策~

 

カエルの初期発生は発生の単元の中でも出題頻度が高いです。

発生の順序はもちろん、胚葉ごとの器官形成やシュペーマンの移植実験、ニューコープの中胚葉誘導実験などが主な出題範囲です。

ではカエルの発生の出題ポイントを詳しく解説していきます。 

 

①端黄卵で初期発生する。  

端黄卵では卵黄が植物極側に偏っています。

これにより動物極側は黒い色素が密集し、上部は黒色、下部は白~薄黄色に見えます。 

Ex) 両生類、爬虫類、鳥類 

 

②灰色三日月環が胚の背中側になる。 

両生類の受精卵では、動物半球から精子が侵入し第一卵割までの間に30°表層回転します。

この時黒い色素が下部に少量移動し、灰色に見えるようになります。

この部分が灰色三日月環です。

灰色三日月環は将来胚の背中側になりますが、出題時には腹側か背中側かを問う問題は非常に頻出です。 

 

③シュペーマンの移植実験 

実験1 イモリの原腸胚期に表皮予定域と神経予定域を交換移植する。 
結果 移植片は移植先の予定運命に従って分化した。 
結論 表皮や神経の発生運命は原腸胚には未決定。 
実験2 イモリの神経胚期に表皮予定域と神経予定域を交換移植する 
結果 移植片は本来の予定運命の通りに分化した。 
結論 表皮や神経の発生運命は、神経胚期には決定されている。 

 

④ニューコープの中胚葉誘導実験 

中胚葉誘導:桑実胚期から胞胚期にかけて、植物極側の細胞群が赤道面付近の細胞群を中胚葉に誘導する現象。

実験では胚を星形に5つの領域に分け、それぞれを組み合わせて培養する。 

領域A  外胚葉にのみ分化する。 
領域B 未分化の内・中・外胚葉に分化する。 
領域C 未分化の内胚葉になる。 
領域AとC 正常な内・中・外胚葉に分化する。 

多細胞図1

カエルの発生では③、④の実験を問題の大きな軸として 卵割や発生順序など基礎的な問題に解答することが多いです。 

上記の二つの実験はカエルの発生の問題を解くうえで不可欠な知識でもあります。 

 

~カエルの初期発生を学ぶ上で気を付ける点~

 

カエルの初期発生ではウニの初期発生には見られなかった、神経胚期と尾芽胚期が原腸期と幼生期の間に挿入されています。

これは後に脊椎動物として脊髄を持つため、幼生となる前に神経を形成することを考えれば、出題時も間違えることはないでしょう。 

また、灰色三日月環や中胚葉誘導など高校生物で初出の単語が多く出題されます。

単語の定義とこれらに関連した実験を中心に初期発生全体の流れをつかんでおきましょう。 

 

<ヒトの初期発生>

 

ヒトの初期発生は山中伸弥教授(京都大)らによるIPS細胞の研究にも見られるように、近年目覚ましい発展を遂げている分野でもあります。 

高校生物ではヒトの発生に関する詳細な知識は出題されませんが、ES細胞とIPS細胞のそれぞれの特徴とその利用方法については理解しておく必要があります。 

 

・ES細胞

 

ES細胞(Embryonic Stem Cells)は日本語では胚性幹細胞と呼ばれます。Embryonicは胎児の、未発達の、Stemは幹、軸という訳が当てられます。 

受精卵は発達する前、個々の細胞レベルではまだ肺になるのか腸になるのか肝臓になるのかはたまた手や足になるのかなどが決まっていません。 

しかし同時に、将来そのどれにも分化する可能性を秘めています。

この特性を利用して、受精卵の一部を取り出して培養し、その後様々な組織や器官を人工的に作り出すことができるのです。 

そんな便利なES細胞ですが、大きな問題が2つあります。 

 

①ES細胞はヒトの受精卵からしか培養できないため、その受精卵が将来新生児として誕生するのを妨げてしまい、ともすると殺人に当たる可能性もあることから、安易に利用することは出来ない。 

 

②他人からの培養細胞を移植すると免疫による拒絶反応によってアポトーシス(体外細胞の破壊)が起きてしまう。 

 

以上2点の問題点はES細胞の応用に対して現在大きく歯止めをかけてしまっているのです。 

 

・IPS細胞

 

山中伸弥教授(京都大)らは、IPS細胞のヒトへの応用を成功させたことでノーベル医学・生理学賞(2012年)を受賞されましたが、IPS細胞のすごい点は大きくES細胞の2つの問題点を克服したことにあります。 

IPS細胞はヒトの受精卵ではなく、患者さんの体細胞から培養することができるため、受精卵を用いるという倫理的な問題と拒絶反応の問題の両方を解決することができたのです。 

ちなみにIPS細胞(Induced Pluripotent Stem Cells)は日本語で人工多機能性幹細胞と言います。 

 

~傾向と対策~

 

上記でも述べましたが、ヒトの初期発生では詳しい発生順序や重箱の隅をつつくような単語は出題されません。

しかし特に記述式の入試試験においてはES細胞とIPS細胞の定義とその違いについて出題されることもあります。 

また、理系学生であれば上記2つの知識は必須ですので、教養としても覚えておきましょう。 

 

<ウニ・カエル・ヒトの初期発生まとめ> 

 

今回はウニ・カエル・ヒトの初期発生について解説しました。 

初期発生の単元ではそれぞれの生物における卵割の仕方(端黄か等黄か)や発生様式、内・中・外胚葉それぞれから生じる組織が何であるのかを覚えなくてはなりません。

しかし生命の成り立ちは相互に物質が関わり合いながら関連性を持って発生します。

単語をただ覚えるというよりも、発生の流れや生物ごとの違いを考えればより問題への対応力が持てます。 

以下の表に各胚葉の分化組織と発生様式を載せますので暗記の際にどうぞご活用ください。 

 

表1:各胚葉の分化組織 

  外胚葉 中胚葉 内胚葉 
将来 

分化する 

組織 

・表皮 

皮膚、体毛、爪 

目の水晶体 

・神経管  

脳、脊髄、副交感神経、運動神経、目の網膜 

・神経冠細胞 

 

 

・脊索 

後に退化する 

・体節 

骨格、筋肉 

・腎節 

腎臓 

・側板 

心臓、血管、血球 

 

・内臓 

肺、気管、肝臓、すい臓、甲状腺、ぼうこう 

 

 

表2:初期発生の注意点 

 ウニ カエル ヒト 
卵割の仕方 等割(等黄卵) 不等割(端黄卵) 等割(等黄卵) 
発生の順序 ①受精卵 

②桑実胚 

③胞胚 

④原腸胚 

⑤プリズム幼生 

⑥プルテウス幼生 

⑦成体 

①受精卵 

②桑実胚 

③胞胚 

④原腸胚 

⑤神経胚 

⑥尾芽胚 

⑦幼生(オタマジャクシ) 

⑧成体(カエル) 

①受精卵 

②桑実胚 

③胚盤胞(胞胚) 

④着床 

⑤胎児へ分化 

⑥誕生 

 


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